耳鳴り・突発性難聴でお困りの患者さまが来られました。
はりねずみのハリー鍼灸院の「耳鳴り・突発性難」の治療法は下の画像のようになります。
(患者さまに撮影・画像公開の許可をいただいています)
もちろん、耳の周囲から後頭部、首、肩だけではありません。
背中にもお尻にも足にも鍼を打ち(要するに全身。100カ所近く鍼を打ちます)、
棒灸(輻射熱で温める、やけどのできないお灸)もして皮膚を温めます。
どうしてこういう治療をするのか?
難聴、耳鳴り、めまいなどを治療する場合、
耳に行く血液やリンパの流れを改善させるのは必須です。
耳の神経(内耳神経、聴神経と言います)に栄養が十分いっていない、あるいはリンパ液で神経が圧迫されているのが原因であることが多いからです。
その証拠に、耳鼻科に行くとビタミンB12や利尿剤を処方されることが多いと思います。
ビタミンB12には神経の機能を回復させるはたらきが、
また利尿剤には耳の中にたまっているリンパ液を減らすはたらきがあります。
また、難聴や耳鳴りでお悩みの方は強いストレスを受けられている場合が多く、
耳の周りから肩にかけて強い「こり」、緊張があります。
こういう状態だと筋肉のポンプ作用(血管の収縮/弛緩が血液循環をサポートしている)が働かず、どうしても血流/リンパ液の流れが悪くなります。
鍼(筋肉層までアプローチできる物理的刺激)および灸(温熱刺激)で引き起こされる反射(体性-自律反射)という生理現象を利用して、筋肉を緩め=筋ポンプ作用を回復させ、血流/リンパ液の流れを改善し耳の神経のコンディションをよくする。
これが、鍼灸治療の基本戦略です。
それでは、全身に鍼を打ち灸をすえるのはなぜか?
足やおなかに鍼を打ったところで、
その刺激自体が耳の周りの血流に直接影響するわけではありません。
ただ、はりねずみのハリー鍼灸院は
「全身を使って生活している以上、全身にアプローチするのは当然」
というコンセプトで治療しています。
耳鳴りの治療で耳の周りしか打たないのは、はっきり言って、しろうとのする仕事です。
それに、患者さまも気づいていない異変や不具合が見つかる場合もあります。
この患者さまの場合、夜は靴下をはかないと寝られないくらいの冷え性でした。
この足の冷え性、問診のときには話題に上がりませんでした。
「これが当たり前」と諦められていた部分もあったようです。
冷え性は自律神経のはたらきがうまくいっていないために起こるのですが、どうしても血流が悪くなります。放置しておいていいはずがありません。
どこまで改善するか、これから楽しみです。がんばります。
急性腰痛の患者さまの治療のカルテです。
はりねずみのハリー鍼灸院でどのように治療しているか
参考になれば幸いです。
患者さまプロフィール
●40代男性、西宮市在住
●会社員
問診
・数年に1回ぎっくり腰になっていた。
・数日前になって、今は少しまし。
・前屈すると痛みが出る。後ろにそるのがこわい。痛みもある。
・鍼治療の経験はあり。
・お灸の経験はなし。
検査
・熱感なし
・ふくらはぎも肩・背中も緊張が強い
・右の腰臀部に著明な圧痛点・圧痛帯あり。
治療方針
・鍼で鎮痛を図る。(鍼には鎮痛作用があります)
・棒灸は腰以外のところに使い、血流を改善させる。
・肩から背面全体の筋肉の緊張を除く。
治療内容
・下半身で圧痛・硬いところを30ヶ所近く深刺(単刺)
・腰部の3ヶ所置鍼
・棒灸は手早く使用。5分程度。
↓
・仰向けになってもらって腹部を小児はり
・足三里、三陰交に置鍼
・腸腰筋に4本(左右2本ずつ)置鍼
・腰背部にテーピング
治療後
痛みが半分ほどに軽減、テーピングのおかげで腰を守ってもらえている安心感が持てた。
さて、免許をとりたての鍼灸師と、何年か経験を積んだわたしみたいな鍼灸師とでは、腰痛の治し方に違いがあります。
端的に言うと、経験の浅いうちは何でも鍼灸だけで解決しようとする。
経験を積むうちに、アイシング(氷冷)、電気治療、テーピング、運動療法などを患者さまの病期(ステージ)に応じて組み込んでいきます。
ということで、慢性腰痛はともかく、ぎっくり腰や急性腰痛は、できれば経験を積んだ鍼灸師——カンというかセンスのいい鍼灸師でも2−3年の実務経験がある鍼灸師のところに通った方がいいです。
わたし自身、免許取り立てのころ(8年前)、かえってひどくしたり、立てなくしたりしたこともありました・・・・・・
腸脛靭帯炎の患者さまを治療中、経過も良好です。
はりねずみのハリー鍼灸院でどのような治療をしているか?
参考になれば幸いです。
患者さまプロフィール
●20代男性、西宮市在住
●公務員
問診
・中学時代スポーツでオスグッド病と言われた。
・走ると痛くなり、整形外科でレントゲンを撮ってもらうと膝関節の骨が外側に出ているとのことだった。
・基礎疾患なし。服薬もなし。
・鍼治療の経験はあるが20分程度の治療時間で効いた気がしなかった。
・お灸の経験はなし。
検査
・膝まわりの動作痛・牽引痛はなし。
・大腿周径に左右差あり。
・腸脛靭帯、腰臀部に圧痛点・圧痛帯あり。
治療方針
・鍼で鎮痛を図る。(鍼には鎮痛作用があります)
・炎症が慢性化しているので棒灸で血流を改善し、傷ついた筋肉の回復を早める。
・背面全体の筋肉の緊張を除く。
治療内容
・腸脛靭帯の前後12ヶ所を深刺
・背面全体を単刺。約50カ所
・棒灸で腸脛靭帯を中心にあたためる
↓
・仰向けになってもらって腹部を小児はり
・足三里、三陰交、風市に置鍼
↓
・骨盤整体
・内転筋、下腿三頭筋のマニピュレーション
・うつ伏せになってもらい、緊張の残っていた左大腸ユに深刺
治療後
痛みが半分ほどに軽減、股関節の可動域が広がった。週1のペースで来院、治療することに。
三叉神経痛の患者さまが来られました。
はりねずみのハリー鍼灸院でどのような治療をしているか?
参考になれば幸いです。
患者さまプロフィール
●40代男性、神戸市在住
●食品加工に従事
問診
・もともと蓄膿症気味だったが、数年前から左の目の奥から頬、歯にかけて原因不明の痛みが続いている。頭痛もひどい。胃の調子も悪い(ピロリ菌はいなかった)
・精神安定剤、抗炎症薬、胃酸分泌を抑制する錠剤などを服薬している。
・脳のCT、MRI異常なし。
・鍼治療の経験はあるが20分程度の治療時間で効いた気がしなかった。
・お灸の経験はなし。
・足の冷え性に悩まされている。
検査
・首の動作時痛としびれはなし。
・エデンテスト陽性 →胸郭出口症候群
・ブラシを使った顔の触覚試験で左の目尻から頬、顎にかけて左右差あり
指圧すると痛み発現→三叉神経痛み(第2枝・第3枝)
治療方針
・血行不良により、痛みに関わる神経の周囲の筋肉がかたくなっているのが原因。鍼で筋肉の緊張を緩める。
・また足の冷え性は棒灸を使って自律神経のトレーニングをする。
・背面全体の筋肉の緊張を除く。特に肩と胃の裏側。
治療内容
・後頭部から肩にかけて8本、胃の裏側に2本置鍼。
・背面全体、下腿後面を単刺。約80カ所
・棒灸で背面全体をあたためる
↓
・仰向けになってもらって腹部を小児はり
・おなかのツボ(圧痛点)2カ所、足三里、三陰交に置鍼
・左顔面の、三叉神経が頭蓋骨から出ている穴の近傍に2本、左エイ風に置鍼
↓
・顔面マニピュレーション
・頚部牽引
・骨盤整体
治療後
体全体が軽くなり、痛みも半分以下に減った。来週来院。