線維筋痛症
線維筋痛症の原因と治療
線維筋痛症(Fibromyalgia)は、女性を中心に増えている原因不明の全身性慢性疼痛です。
アメリカの学会基準では、「全身18か所の診断点を圧して11か所以上痛いこと」「その痛みが3か月以上続くこと」とあります。
体じゅうが痛くてしかたがないという難病ですが、決してまれな病気ではありません。
厚労省の研究班による疫学調査では200万人近い患者さまがいらっしゃいます。
日本人の60人にひとりです。
線維筋痛症の原因は、よく分かっていません。
「筋線維(筋肉)に異常がある」
「痛みの信号を受け取る脳に異常がある」
という2つの説が有力です。
この原因不明の難病に、鍼灸はどうアプローチするのか?
「はりねずみのハリー鍼灸院」で行っている治療方法、幸い成績がいいのでここに紹介しておきます。※線維筋痛症の治療経験のない鍼灸師の先生は、ぜひ「はりねずみのハリー鍼灸院」方式を追試してください。
(1)とにかく筋肉の緊張を徹底的に緩めて副交感神経
(リラックスさせる自律神経)のはたらきを上げる。
→線維筋痛症の患者さまは絶えず痛みのストレスにさらされているため、放っていても交感神経(興奮させる自律神経)が優位になります。交感神経が優位になると筋肉が縮むため、さらに痛みの刺激が起こります。この痛みの悪循環を、鍼灸で止めます。
(2)強めの刺激を全身に与える。
→簡単に言うと「あちこちで食らわされた鍼の痛みやお灸の熱さに比べれば、体の中からの痛みは大したことはないかな」と脳に勘違いを起こさせる作戦です。
痛みの専門用語で
「広汎性侵害抑制調節(Diffuse Noxious Inhibitory Controls:DNIC)」
と言います。
一種の認知行動療法と言えなくもありません。
ただし、痛ければどんな刺激でもいいわけではありませんし、ましてわざと痛みを起こさせる治療をするのは倫理的にも問題があります。
痛くあってはいけないけれど、全身に強い刺激を与えるには――
「はりねずみのハリー鍼灸院」では、筋線維の走行面に対して斜めに深く鍼を刺し入れることで、できるだけ多くの筋肉に刺激を与えるようにしています。
解剖学をきちんと勉強してこなかった鍼灸師の先生には怖くて打てない打ち方です。
通院頻度と治療期間の目安は、週1回で3~6カ月間。
痛みがコントロールできれば、週1回から月2回、月1回……と通院頻度を減らしていきます。
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線維筋痛症の痛みを鍼灸で完全に取り除くことはできませんが、痛みで日常生活に支障をきたすことがない程度に生活の質を上げること、痛みをある程度コントロールすることはできます。
高血圧症や糖尿病、アルコール依存症、HIV感染症などを例にとりましょう。
これらは、一度なってしまうと二度と治りません。今のところ不治の病です。
しかし、生活習慣の見直しや服薬でコントロールすれば、病気や症状をかなりの程度抑えられます。
結果、仕事や家事、社会活動などは続けられるでしょうし、うまくいけば、病気のないひとよりかえって長生きできるかもしれません。
「全身が痛いしだるいし、でも健康診断や血液検査では本当に何も異常なところは出てこないし、これは線維筋痛症かな?」とお悩みの方は「はりねずみのハリー鍼灸院」にご相談ください。
4ヶ月目から2週間に1回、5ヶ月目は月1回で治癒した実績もあります。
症状が軽くなるまでに時間がかかることもあり、不安もあるかと思います。
線維筋痛症で大切なのは、
「どういう姿勢なら痛みがましになるか?」「痛いけれどできることは何か?」
といった、認知行動療法的な行動もとりいれてストレスを軽減させることです。
当院では「痛みがましになる姿勢」や「今の状態でもできること」も一緒に考え、実行していきます。
あきらめず、一緒にがんばりましょう!